選曲って難しいよねって話

この記事は#kosendj Advent Calendar 2016の2日目の記事です。1日目は顧問のasonas氏が高専DJ部の生い立ちについて語ってました。

最初はこんなに記事が長くなるつもりはなかったのですが、書いていくと思いの外色々書きたくなって記事が長くなってしまいました。
この記事の要旨はだいたいこんな感じです。

  • ハーモニック・ミキシングを使おうよ
  • Mixed in Keyはいいぞ

概要

DJというのは雑に言うと今流れている曲と相性の良い曲を探してええ感じに繋げるとええ感じになる遊びなわけですが、肝心の「今流れている曲と相性が良い曲」って何なんでしょう?

ジャンルが同じでBPMがそんなに離れていなくて・・・って曲が候補に挙がるわけですが、いざミックスしてみるとなんか不協和音になってしっくりこないなんてのはよくある話です。
そもそもジャンルが同じだったらBPMも似たようなものになるわけで、多すぎる選択肢は限られた時間で次の曲を選ぶ際の障害になります。
そこで楽曲のキーを使って相性の良い曲を効率よく探そう(つまるところハーモニック・ミキシングをしようよ)というのがこの記事の主旨です。

ハーモニック・ミキシングとは

ハーモニック・ミキシングというのは雑に言うと「楽曲のキー(調性)を利用したDJミックス手法」です。

camelotharmonicmixing

ここで唐突に不思議な図が出てきましたがキャメロット・ホイールというもので、ハーモニック・ミキシングの肝になるものです。

意味はさておいて上の図の8Bと書かれた箇所に着目しますとC Majorとありますね、右隣の9BはG Majorとあります。左隣の7BはF Majorですね。
C Majorという音に対して対してG Majorはドミナント(属音)、F Majorはサブ・ドミナント(下属音)という関係になっています。

さらに、8BのC Majorに対して内側の8AはA Minorとなってます。C MajorとA Minorは同じ階音から構成されるレラティブキー(平行調)という関係になっています。

こんな感じで起点(トニック)に対してドミナント進行となるキーを右隣に、サブドミナント進行となるキーを左隣に、平行調を同軸に配置してぐるっと一周させたものがこのキャメロット・ホイールというものになります。
意味はわかんなくとも「隣り合うキーは相性がいいキー」と憶えればそれで十分です。ハーモニック・ミキシングでは今流れている曲に対して同じキーの曲、もしくは、キャメロット・ホイールにおいて隣り合ってるキーの曲を次の曲として選びつないでいきます。

つまりハーモニック・ミキシングというのは「今流れている曲のキーに対してドミナント進行やサブドミナント進行になるように繋ぐといいんじゃね?」という考え方に基づくミックス手法と言うわけですね。

例えば今12A(D-Flat Minor)がキーの楽曲を流している場合、相性が良い曲は12A(D-Flat Minor)、1A(A-Flat Minor)、11A(F-Sharp Minor)、12B(E Major)のいずれかがキーの曲となるわけです。これにジャンル・BPMといった条件を加えると海千山千の楽曲群の選択肢がぐっと狭まるはずです。

camelotharmonicmixing

選曲の幅を広げるキーシフト

もしハーモニック・ミキシングできそうな曲が手元に無い場合は楽曲のキーを上げたり下げたりすることで選択肢を増やすことが出来ます。カラオケでもやりますよね?キーシフト。あれです。
僕はseratoを使ってますがseratoの場合pitch’n timeというexpansionを買うことでキーシフトが出来るようになります。
例えばkosendj-bu#8の僕のセットリストの一部ですが、こんな感じになっていました。

  1. Yasou (Tomohiko Togashi Remix) : 12A
  2. Miracles : 5A
  3. Carmel (Original Mix) : 12A
  4. Life Style (Kyohei Akagawa Remix) : 11A
  5. One Small Step (Original Mix) : 4A
  6. Skyfire (Original Mix) : 10A

原曲キーのままだと上手くハーモニック・ミキシング出来そうにないところ(2曲目や5曲目)がありますよね。実際には以下のようにキーシフトを行っていてハーモニック・ミキシングを実現しています。

  1. Yasou ( Tomohiko Togashi Remix ) : 12A
  2. Miracles : 5A→12Aにキーシフト
  3. Carmel (Original Mix) : 12A
  4. Life Style (Kyohei Akagawa Remix) : 11A
  5. One Small Step (Original Mix) : 4A→11Aにキーシフト
  6. Skyfire (Original Mix) : 10A

12Aの楽曲を流している場合の相性が良い曲は先に挙げたとおりですが、これにキーシフトを加えると4A、5A、6A、5Bの楽曲はキーを1つあげることでハーモニック・ミキシングできますし、6A、7A、8A、7Bの楽曲はキーを1つ下げることでハーモニック・ミキシングできます。

camelotharmonicmixing

キーシフトをすると一気に選曲の幅が広がるので、キーが弄れるのはPCDJの強力な武器だなーと思う今日この頃です。

ハーモニック・ミキシングのまとめ

と言うわけで、ここまでの話を纏めるとこうなります。

  1. 今流している楽曲のキーを押さえておく
  2. 次の曲は今流している曲と同じキー、もしくは、ドミナント、サブドミナント、平行調の楽曲に絞って探す
  3. それでも良い曲がなければキーシフトを使用したうえで、曲と同じキー、もしくは、ドミナント、サブドミナント、平行調になる曲を探す
  4. どうしてもハーモニック・ミキシングできそうにない曲を流したい場合は、ロングミックスでなくカットインを検討する

最初から広い選択肢を手当たり次第に探すよりは、少ない選択肢から徐々に選択肢を増やしていく方が効率的に相性の良い曲が見つかります。

ただし、あくまでメロディーを綺麗にロングミックスするのが目的ですのでHard Technoのようなおよそメロディーと呼べるものが無い楽曲をミックスする場合や、カットインでミックスする場合はこの辺をあまり気にしなくても大丈夫です。
(といってもHard TechnoやMinimal Technoといった音楽の場合は一気に曲調が変わると萎えてしまうので、曲の内容をしっかりと頭にたたき込んでおく必要がありそれはそれで難しい。)

楽曲のキー解析

さて、ここまでハーモニック・ミキシングを利用した選曲について書いたわけですが、今流している楽曲のキーを知るのはまた大変です。beatportのような配信サイトであれば大体掲載されているわけですが、同人CDや市販されてるCDにキーの記載は無いことがほとんどです。ましてbeatportのようにキー記載があったとしても、それを手作業で入力していくのは無理があるので、ソフトウェアを利用して楽曲の構成音からキーを解析することになります。
主要なDJソフトはキーの解析に対応していてtraktorは昔からキー解析できましたし、seratoもver1.8からようやくキー解析が出来るようになりました。rekordboxもできますね。

が、僕はこれらのソフトをつかっておらずMixed in Keyという楽曲の解析に特化したソフトを使っています。

理由は2つあって、1つは単純に解析精度の問題。
DJ Techtoolsがキー解析精度の記事を書いていて、これによると主要なソフトウェアの解析精度はこんな感じです。

  • Beatport’s Store Tags : 61%
  • serato : 70%
  • Mixed In Key : 86%
  • Rekordbox : 70%
  • Traktor Pro : 47%

とまぁ、現状Mixed in Keyが解析精度では優位という状況です。
Beatportでもkeyの記載はあるけども、あまりあてにならないというのは興味深いですね。

もう1つはhot cueの自動作成機能が強力という点です。
Mixed in Key ver.7まではあまりこの機能がイケて無くて、cueは自動作成されるけど結局自分でぽちぽちcueポイントを作り直していたのですが、今年の夏リリースされたver.8でこの機能が大幅に進化していて、理由はよく分からないけどもcueポイントがバシッと良い感じに作成されるようになりました。
下の画像は#10で使った楽曲のserato dj上のスクリーンキャプチャですが、cueポイントはMixed in Keyによる自動生成です。それっぽい場所にちゃんと設定されてますよね。

serato_dj

Mixed in Keyの問題点を挙げるとするなら、そこそこ良いお値段するのと、曲の解析にそれなりに時間がかかるところですかね。あと、確かインターネットに接続した状態でないと解析が出来なかったはずです。高い解析精度を維持するために解析情報をMixed in Keyのサーバに送信しているとかなんとか聞いた憶えがあります(うろ覚え)。体験版がないというのも躊躇ポイント高いです。ソフトウェアも安定性が低かったり色々と問題もありますが、ロングミックスを主体にやっていくのであれば、個人的に凄くオススメなソフトですので、是非使って貰いたいです。

以上、効率よく選曲するための手法とそれを支えるツールについてのお話でした。

明日は再びkosendj-bu顧問のasonas氏がオーガナイザーっぽい内容を書くらしいですよ。


カテゴリーDJ

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